君色
第六話

天上天下唯我独尊

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俺は、保健室のベッドに深く身を包み、薬品の臭いを漂わせたその場所で残りの時間を過ごそうと企んでいた。


しかし、思うように眠れない…。


くそっ。
市川のせいだ。
円の話なんかしやがるから…。


俺はアイツといるとよく調子を狂わされる事がある。

似てんだよ…。
アイツは円に…。


雰囲気も性格も。


だから…怖い。

これ以上踏み込んで来られるのが怖いんだ。


もしも俺がアイツを受け入れてしまったら、円が本当に死んでしまうような気がしたから。


俺には…

幸せを手にする資格なんて何処にもない。


あの日から、そんなもんとっくに放棄してんだよ。





円は…俺が殺したんだから…。
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