君色
「今日から新任が来るらしいっすよ」
そうか。北本は確か俺らのクラスの担任だったな。
「手厚く歓迎してやるか」
「そっすね」
HR開始のチャイムがなりびひくとほぼ同時に、教室のドアが開かれ、禿げてる事でお馴染の教頭と一緒に新任教師とやらが入って来た。
「はい、席について静かにするようにー」
これは教師としての建前上のセリフだから、それにまで文句をつける程、俺は鬼じゃない。
まぁそれでちゃんと席について黙ってやった試しはないが。
「片桐円先生だ。今日からこのクラスの担任を受け持ってもらうのでーよろしく」
俺はi-podを爆音で聞きながらも、チラッと新任教師の姿を盗み見する。
まずは俺が気に入るか気に入らないか。
このクラスの担任はそこでこの学校での運命が決まると言っても過言ではないだろう。
(ナメられたもんだな。女かよ)
貧相な体に寝起きで来たのかと疑ってしまう程のやる気の無いジャージ姿。
髪は後ろで1つに束ねていて瓶底メガネの淵がキラリと、窓からさしこむ日の光に反射していた。