君色


しかし、片桐はどうでもいいと言うように、教頭の言葉を最後まで聞く事なく、真っ直ぐ俺へと近付いて来た。


そして、俺の目の前に仁王立ちになって、勢いよくi-podのイヤホンを引っこ抜く。



「………っつ」

「こんなの聞いてたら話が聞こえないだろ?没収!」

「て…てめぇ!北斗サンに何しやがる!!この方がどんなお方か知った上での無礼か!?コラァ!!」

ロッカーの上でくつろぐ俺の下ではしゃいでいた取り巻き1号(名前忘れた)が片桐に向かって吠えた。


「はっ。お前は水戸黄門かっつーの」


これには温厚な俺も流石にキレた。



めでたい奴だ。

知らないっていう事は、ある意味罪かもしれない。




「ははは。あははは!」


俺は笑いながら


片桐目がけて神速の拳を繰り出した。




シュッ。





パシッ。




「!!」



当然のように決まるだろうと思っていた俺の拳はアッサリと捕えられ、手首を掴まれ自由を奪われる。



こ…こいつ!!


その身の華奢さからは想像がつかない程の怪力だった。
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