君色



「早く席につきなさい」


「………………」




俺は片桐を力一杯睨みつけると、ピョンっとロッカーから身を下ろし、一旦席に着く――…









と見せかけて

今度は手加減無しの回し蹴りを片桐に仕掛けた。







パアァァン!!!




教室に乾いた音が響き渡った瞬間――…


じぃぃんと俺の足首に鈍い痛みが振動した。



片桐は俺の回し蹴りも、難無く見事なまでに両腕で防御していたのだ。



この女…一体何者だ?



変な汗が俺の額を湿らせた。


コイツは危険だ。

早くなんとかしねぇとマズイ。



俺の直感がそう言っていた。



天上天下終わり

真夏の夜の夢

新任教師の片桐が来てからすでに一週間が経とうとしている。


そして荒れに荒れてた2年A組といえば―…


アイツが来てから、掌を返したように大人しくなった。









―――ように見えるが。
全ては奴を油断させるためのプロローグに過ぎなかった。



他の教師達からも誉め称えられて一目置かれ、いい気になった所で地獄の底へ突
き落とす!!


あーゆータイプはプライドが高いからな。


そこをポキッと折ってやれば後は勝手に自滅するというものだ。




俺の作戦は着実に裏で進んでいた――――…。
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