君色
「スキあり」
片桐は手始めに両手を掴んでいた二人を軽くなぎ払い、自由を取り戻した。
焦るな俺!
こっちは30人いるんだ。
一人で勝てる訳がない!!
「よかった、護身用に持ってて」
片桐はジャージの内ポケットから何か棒のような物を持ち出した。
それは左右に引き出すと、ぐんぐん長さを増していき、立派な武器へと変化を遂げた。
「ちっ…」
こんな物を隠しもっていたとは…。
しかし、駒達は大勢でかかれば恐れるに足りないと思い、一気に片桐に襲いかかった。
な…なんなんだコイツ…。
俺は何度も目をこすって、その信じがたい情景を凝視した。
カンフー映画でも見ているのだろうか?
目の前で華麗に舞う身のこなしは、一般人が成せる技では到底なかった。
そして片桐はものの数分で30人全てを片付けてしまったではないか。