君色
人前でこんなに取り乱した事が今だかつてあっただろうか?
何故俺は今、勝てもしない相手に捨て身でぶつかってってるんだ?
こんなの、バカのやる事だろ?
ただ…俺は悔しかった。
気づきたくもない事に、気づかされて、コイツにだけは完全に負けちまったんだって思ったこの瞬間が…
どうしようもなく悔しかったんだよ。
「うっ…」
次の瞬間には、俺は傷だらけで天を仰いでいた。
「気がついたか。悪いがこの人数を送り届けるのはムリだから、適当に休んだら自分達で勝手に帰ってくれ」
な…なんて薄情な奴!!
…って自業自得か。
「じゃ、あたしは帰るから!明日学校遅刻すんなよー!」
そう言って片桐は小走りで自宅へと帰って行った。