君色
しかも一人でいる時間が増えると、人間の悲しい性とでも言おうか、余計な事を考える時間も増える。
俺は、何故か…一日の半分以上、片桐の事を考えていた。
「須往!」
噂をすれば、教室のドアがガラガラと音を立てて開くのと同時に、俺の名を呼ぶアイツの声も聞こえてきた。
「まだこんな所に居たのか。学校は自宅じゃないぞ」
分かってるっつの。
自宅だったらこんなにくつろげねぇよ。
「何か用ー?」
俺はロッカーの上で仰向けに寝転んだまま、気の無い返事を返した。
ロッカーの上は俺のお気に入りの場所だ。