君色
与えられた時間をただ流すようにして生きて来たけど何が楽しくて生きてんのかすら分かんねぇ。
だからって死ぬ気もさらさら無いけど
俺は一体何がしたいんだろうな…。
何もなさすぎて、時々錯覚してしまいそうになる。
今、俺という人間は、本当にこの世に存在しているのか…。
ふと居なくなってしまっても
誰も気づかないんじゃないかってさ。
でも、最近は、少し考えが変わった。
「じゃあさ、俺が高校合格したら、先生ご褒美ちょうだいよ」
「は??」
生きている証を残してみたくなった。
「そしたら俺、やる気出るのに」
「…何が欲しいんだよ」
「合格発表までに考えとく。絶対だよ?」
でも…まだ今は言わない。
もう少し俺が大人になったら、この気持ちと一緒に伝えるんだ。
この穏やかな時間の中で、ハッキリと見えたこの気持ちを。
先生の事が、好きだって。