君色
「高い物はダメだからな」
「あはは。分かってるよ」
気づいてないと思うけどさ、今の俺を動かしてるのは先生なんだよ。
だから…先生のいない学校なんて、俺にとっては意味が無いのと同じなんだ。
「あっ、雪だ」
窓の外を見ると、はらはらと舞う白い粉雪が
景色を白一色に染めていく。
今年、初めて降る雪だ。
「そう言えば、もうすぐクリスマスだなー」
片桐が何気なく言った。
「俺は毎年一人だから関係ねぇや」
すると、片桐がまたまたぁとマヌケ面でおちゃらけてきた。
なんか、ムカツク。
「色んな女のトコ回ってんじゃないのかー?」
オイ。それでも聖職者か。
「失礼だなー。彼女はいっぱいいるけど、クリスマスは俺誰とも会わないようにしてるんだ」
これは本当。
「何で?寂しくないの?あ、親御さんと過ごすのか」
「両親は仕事と愛人で忙しくて帰って来ねーよ。俺が女と会わない理由は、誰かと会ったらそいつがウザイくらい調子に乗るから」
面倒な事は昔から嫌いなんだ。