君色
それが余計なんだよな、俺。
『周りは、自分が思ってる程何も考えていないもの』か…。
俺は片桐のそんな言葉を頭に浮かばせながら、お遣いを済ませ、中野の家へ走った。
変わらないな、この家も。
小学校の頃によく遊んでいたこの家を見ると、懐かしく思えて、当時の記憶も自動的に蘇ってくる。
「いらっしゃい」
何を話したらいいかなんて俺が考えなくても中野がずっと喋りかけてきてくれた。
そういえばコイツ、一度開いた口は閉まらないと学校でも評判の喋り好きだったな。
こいつの人懐こい緩んだ顔は、妙に俺を安心させる。
実際、誰にも話すつもりがなかった、俺の密かな本音をいつの間にかベラベラと喋り続けていた。
将来詐欺師になったらボロ儲けが出来るだろう。