君色
もうまっすぐに目を見る事が出来ないから
顔が見えないよう
片桐の胸に顔をうずめて、強く、強く抱きしめた。
「入学祝いに欲しいもの…今言う。
約束が欲しい」
「…約束?」
「俺が中学卒業して高校に入ったら―――…俺を恋人にして」
最初は、一緒にいられる時間を大切にしていられるだけで充分だった。
「先生が…好き。世界で一番好き」
でも…思いが強くなれば強くなるほど
揺るがない、確かなものが欲しくなるんだ。
「他には何もいらないから、俺のものになって…」
儚くて、脆くて
ひとたび触れてしまえば、崩れ去ってしまいそうな…
繊細なこの想いを守り貫く為に。