君色
第九話

春風の吹く頃に


雪が溶けて春の暖かい日ざしが緑の木々を優しく照らす。


いよいよ、中学最後の一年間のスタートを切った。



今、まさに全国の受験生がぶつかる――――かどうかは定かではないが



禁酒、禁煙、禁欲中だ。



目指すは志望校一発合格。

まぁ、そんなにレベルの高い高校じゃないんだけど。


でも、中学2年の冬まで勉強どころかマジメに出席すらしてなかった俺にとっては、このレベルが合格できるかどうかのボーダーラインらしい。



本当は進学なんてする気がなかった俺がそこまでして守りたいもの。


それは


去年の暮れに二人で交わしたあの『約束』だ。
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