君色
「コーヒーでも入れる?」
「うん」
新年が明けてから、俺はよく勉強会と称して片桐の家に遊びに行くようになった。
でも、あの日以来キス所かハグすらしていない。
まぁ、当たり前と言えば当たり前なんだが思春期の健全な男子にとっては涙ぐましい制欲の賜物としか言いようが無い。
それも春までの辛抱だと自分に言い聞かせて
今日も、テーブルに広げられた参考書とノートにかじりつくのだ。
「あれ?何でそんな本読んでんの?」
片桐が読んでいたのは転職マニュアルと書かれた分厚い本だった。
「うん、仕事変えようと思ってさ」
「何で?」
「ちょっとやってみたい事があるから」
やってみたい事ねぇ…。