LOVE・LOVE・LOVE
LOVE
「じゃあ、次の問題…高坂。」
「…X=3」
「よし、正解。」
何処にでもある、当たり前の光景。数学の授業。教壇に立つ教師、そして授業に大人しく参加する生徒数十名。
私は黒板の前で声を張り上げる人物を見つめる。
1ヶ月前。
「ねぇ、先生。秘密の恋愛しない?」
「おもしれぇじゃん」
誰もいない放課後。
私達は秘密の約束をした。
刺激ある、恋の始まり。
「あーあっ、結城の授業もう終わっちゃった。学校いる意味ないしー」
友達の由愛が溜息。
結城とは先ほどまで教壇で声を張り上げていたイケメン先生。
20前半でまだ若い。
そして…私の秘密の彼氏。
「つまんなーい」
「由愛ったら」
私は何食わぬ顔で笑う。
ばれてはいけないから。
ばれたらそこで終わり。
「もう!沙紀は無関心すぎだって!」
「へへっ」
ほらね。誰も疑わない。
私と先生との関係。
「沙紀、そんなんじゃ彼氏できないよ?」
「意味分かんなーい」
"4組福永、実践室結城まで。"
そんな時、私を呼び出す放送が掛かった。
「ちょ、沙紀呼ばれてる!しかも結城に!」
興奮する由愛に苦笑いをし
私はゆっくりと席を立った。
「すぐ戻ってくるから、待ってて。」