日暮れの緋色
 だいたい、なんで「プチ家出」と称して未成年が家に帰らなくても親が捜索願を出さないのか理解できない。



 そんな親に限って「うちの子は大丈夫です」とか言いやがるから始末がわるい。



 魁が現代社会を嘆いているうちに、ミコトはまた何かを調べ始めていた。



 「はい。完了ですわ」



 「は?」



 よくわからない間に、何かが完了したらしい。



 怪訝(けげん)な顔をしていると、「お茶にでもしましょうか」と椅子に座りにこりと笑った。



 (つまり、俺がお茶を入れるんだな)



 魁はまたため息をついて、彼女が好きなダージリンを用意するのだった。
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