日暮れの緋色
 「み、こ、と、さぁ~~~ん」



 「あら、庸介さん。いらしたのですね」



 ミコトが答えると、庸介は猪のように彼女に突進していった・・・が途中で何者かに襟首を捕まれ、子猫のようにその腕にぶら下がった。



 「こら!何しやがる、魁!!!」



 「ほこりが舞う」



 「うるせ、放せ!!」



 庸介が魁の手を振り払おうとする前に、魁はその手を離してしまう。庸介の身体は重力のむくままに床に落ちた。



 「いって~~~。放すなら放すって言えよ!!」



 「うるさいな。放せといったから放したんじゃないか」



 「だからって、急に放すやつがいるか!!」



 「俺」



 ムキーといわんばかりに庸介が魁に詰め寄っていく。



 一触即発の空気をぶち壊したのは、こんな状況でにこやかに笑うミコトであった。

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