日暮れの緋色
 「庸介さん、お頼みしたいことがありますの。」



 ミコトの言葉に、嬉々として庸介は駆け寄っていった。きっと彼に尻尾があれば、振り切れんばかりに尻尾を振っていたことだろう。



 「あのですね、この子の面倒をみていてくれないですか?2・3日で結構ですので。」



 ミコトは店の入り口で固まっていた比呂の肩に手を置いた。



 「え?ガキの世話を、俺が?」



 「ええ」



 戸惑う庸介をよそ目に、ミコトはにこやかに笑った。



 「でも、その子の親が心配するんじゃ・・・」



 「大丈夫ですわ。」



 「でも・・・」



 「大丈夫!で、す、わ!」



 変わらぬ笑顔で、しかし有無を言わせぬ口調でミコトは庸介に詰め寄る。
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