日暮れの緋色

殺人予告の日

　魁を殺すと予告した日が来た。



　しかし、相手はあれから一度もメールをよこしていない。



　ということは相手は魁の居場所も顔も知らないはずだ。



　「おかしいですわね。」



　「今更か？どうせ、いたずらだったんだろう。」



　ミコトの推測が外れたことはこれまで一度もなかったのだが、さすがに予告当日まで魁に関することを聞かれないとは思ってもみなかった。



　「お姉ちゃん、帰ってくる？」



　「大丈夫だよ！ミコトさんなら」



　いつの間に来ていたのか、比呂と庸介が部屋の奥から出てきた。



　「たぶん、大丈夫ですわ」



　ミコトはにこやかに笑っていたが、魁はミコトが「たぶん」という不確定な言葉を使っていることに驚いた。



　態度には出さないが、珍しくかなり焦っているのだろう。
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表紙・目次

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