日暮れの緋色

夕暮れにみえるのは

 人々が波のように行きかう中、僕はその店を探していた。



 「どこにあるのかなぁ〜」


お姉ちゃんがいなくなって、お父さんもお母さんもおかしくなった。
 怖くて、怖くて・・・僕は家を飛び出した。



 行くあてもなく街をうろうろしていたら、黒頭巾の不思議な大人の人がこのお店の名を教えてくれた。



 『困ったらここにいくと良いよ。』



 手渡された紙には「メイド商会」という文字とその住所が書かれていた。



 「どうしよう・・・」



 春の日は長いようで意外と短い。



 日が傾きだすとあっという間に暗くなってしまう。



 太陽はもうオレンジ色になってきていた。
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