日暮れの緋色
 「お前、知っていたのか。相手が悪魔だって・・・」



 不機嫌そうに魁は剣をしまった。



 「もしかしたらとは思っていましたわ」 



 「何で言わないんだ」



 「確信がなかったんですもの」



 仕方ないでしょうといわんばかりに、ミコトは小首をかしげて言った。



 「男がそんな態度で許されると思っているのか?」



 「私なら許されますわよ。ねえ?魁さん」



 ミコトはそのまま魁に抱きついた。



 「魁さんだって女の方なのに男性の格好をしているのですもの。お互い様でしょう?」



 確かに、魁も男装をしているがミコトの女装趣味は行き過ぎているように思う。



 しかしそれを言っても不毛だ。



 魁は仕方なく大きくため息をつくのであった。
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