日暮れの緋色
 「いっちまったな」



 「ええ」



 「何で、真樹は家族みんなの死を望んだのかな」



 「嫉妬かもしれませんわね。歳の離れた弟ばかりをかまう両親が憎くなったのかもしれません。」



 「それって、愛してほしかっただけじゃないのか?」



 「そうですわね。けれど思春期の女の子は彼らの死を願ってしまったんですわ。ほんの一時期の些細な感情が悪魔にはとても良い獲物だったのでしょうね。」



 「せつないな・・・」



 「ええ」



 しばらく二人はそうして、彼らを見送った。
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