日暮れの緋色

消えた家族

 「こんばんは。小さなお客様」



 フランス人形だと思っていたものが、真下 比呂(ました ひろ)に話しかけてきた。



 比呂は驚きで身動きがとれず、思わずつばを音を立てて飲み込んだ。



 「おい、名前ぐらいいえるだろう」



 後ろから来たタキシード姿の男が比呂の頭を強く撫でながらいった。



 思わずその手を比呂は振り払う。



 「ぼ、ぼくは真下 比呂!お姉ちゃんが、お姉ちゃんが消えちゃったんだ!!助けて!!!」



 比呂は目の前の人形のような女の子に詰め寄った。
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