日暮れの緋色
 「みてください。ここ一ヶ月で失踪した若い方たちですわ。」



 「お前・・・警察のデータベースハッキングしたのか・・・」



 ハア~と魁は深いため息をついた。 



 ほんの数分の間に、最高のセキュリティーで固められた警察のデータベースに入り込み、それを盗み出す奴はこいつくらいなものだ。



 だから国家機密なんて重要なものをパソコンで管理するなとあれほどいているんだとぼやきながら、彼はその名簿を眺めた。



 「こんなにいるのか・・・」



 一ヶ月だけで、10歳から30歳までの失踪者は万単位になっていた。



 「ええ、けれどこれは捜索願が出された分だけなので、これの3倍以上はいるでしょうね。」



 「おいおい。」



 魁はミコトの言葉に天を仰いだ。

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