Kyrie
「では…この用紙に記入をお願いします」
春風に桜が薫る、四月中旬を過ぎた穏やかな日…。
銀行の窓口ロビーに、ひと際目を引く一人の女性が座っていた。
「エーメ、この紙に書いて」
その女性に紙をチラつかせながら近づく男性…。
女性は頷くと、ゆっくりと立ち上がった。
「すごい美人…」
「かっこいー…」
窓口の女性社員たちが小声で囁いている。
他の社員や客たちも、その二人から目が離せない。
不思議な雰囲気に包まれた…とある銀行の窓口。
そんな雰囲気を一瞬で壊したのは、一発の銃声だった。