Kyrie
「キャーッ!!!」
女性の客や社員が一斉に悲鳴を上げる。
「全員動くな!!手を上げろ!!」
暗い服装…黒い帽子…顔を隠した強盗犯と思われる男が数人、荒い動きで窓口に入ってきたと思えば、彼らは颯爽と定位置についた。
「大人しく金を出せば何もしない」
強盗犯の一人はそう言うと、持っていた鞄を窓口の女性社員に差し出し、銃を向ける。
鞄を差し出された女性は泣きそうになりながら、ロビーをキョロキョロと見渡す。
「早くこれに金を入れろ!撃つぞ!」
「ひぃっ…!」
女性社員が慌てて鞄を受け取ろうとすると、ふっと目の前が金色になった。
「…矛盾してません?最初に動くなって言っといて、鞄に金を入れろって」
先ほどまで全員が見惚れてたあの女性が、いつの間にかカウンターを越えて女性社員の前に立っている。
「おま…っ!どこからっ…」
想定外の状況に、銀行内の全員が戸惑っていた。
「…カミラ!」