恋のどれい


前川くんから手をはなして、あたしはさけぶ。




「来ないで!触れないで!!近寄らないでっ――!!」



ベッドに押し倒されて、額に手。




へ…。



「熱あんじゃん」



そのまま、やられんのかと思ったのに。




前川くんは、ぬらしたタオルをあたしの額に。



意外と、優しいのかも…?





あたしは不思議に思った。



どうして、前川くんは、"王子さま"を演じているのか。



ほんとうを隠して、優しさでとりつくそうとするのか。





あたし前川くんのこと、なにも知らない…。






「恋の、俺のどれいになればいいじゃん」



どうして、恋のどれいを作るのか。


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