恋のどれい
と、あたしに差し出したのはりんご。
さっきあたしが心配したりんご。
ボウルの中に入ってて、どうやら塩水にひたしてあるみたい。
「ありがと」
受けとって食べる。
おいしい。
「おかゆも食えよ。台所借りる~」
ベッドから抜け出して、キッチンに向かった。
あたしは急いで、つかまえて。
「そんなこと、だいじょうぶっ。前川くんが料理できるなんて思ってないし。苦手はだれにだってあることだし…」
つまり、台所を汚さないで、と。
「おーまーえー」
あたしの肩をつかんで押し倒した。
前川くん、そこまで落ちぶれてないって言ってたよ?!
あたしのダブルベッドの上にぽすっと納まった。