恋のどれい
ぎっと、あたしは前川くんをにらみつける。
「付き合わなくても、ほんものの恋を感じることができるはずよっ!」
「へぇ…例えばどんな?」
余裕そうにしている前川くんの顔がにくたらしい。
「例えば~…!!」
あたしはひらめいた。
「見ればわかるわよっ!」
前川くんには口で言ってもわからないはずっ。
それだったら、見せるしかないでしょ。
そう約束したのは放課後。
走って来たのに、前川くんにおそい、と怒られてしまった。
これでも走って来たんだよ、とあたしは前川くんをにらみつけた。