恋のどれい
最後は、観覧車。
今は街が夕日色に染まっていて、とてもきれい。
前川くんと向かいの席に座っている。
見ているのは、前川くんじゃなくて足元でもなくて。
キレイな空。
「…俺さ、なんでもカンペキにこなさなきゃって、思ってたんだよね。んで、今の性格」
あたしは前川くんを見る。
窓を見た横顔が照らされていてきれい。
まつげ長ー。
鼻高ー。
あたしはじっと前川くんを見つめる。
「無関心な親が俺を見てくれるかもってがんばってた。けっきょくダメだったけど」
長いまつげが下を向く。
カンペキな裏に、悲しい現実。
これは前川くんにほんとうに起こったことなんだ。