恋のどれい
理恵ちゃんはなかなか入らないあたしに声をかける。
あたしは動けない。
だって、恋のどれいってまだあるの?
今まで、前川くんと楽しんだときにも恋のどれいは前川くんの後ろにあったの?
「あっ、のね。理恵ちゃん先に行ってて…」
あたしは保健室から出て行った。
いたたまれなくなった。
前川くんの声をシカトして、逃げてしまった。
理恵ちゃんには、あとで謝って…。
「おい。どーした?おーーいっ」
前川くんがあたしを追いかけてくる。
あたしはスタスタ歩く。
何度もシカトをするあたしにしびれを切らしたのか、前川くんはあたしの前に立ちはだかる。