恋のどれい
「なに怒ってんだよ」
「べつに…」
「お前って、ほんとうに意地っ張りだよな。で?」
「だからなんでもないってば!だいたい、あたしはお前なんかじゃない…」
今さら、気にしないようにしてたけど。
前川くんはあたしのことを名前で呼んだことがない。
ほんとう、今さらだけど。
「はぁ~?」
「なんでもないのっ!」
自分でも、どうしてこんなにもイライラしているのかわからない。
ほんとうに、あたしは前川くんと付き合ってるわけじゃないんだから。
前川くんがだれと話してようが、関係を持ってようが、あたしには関係のないことなのに。