恋のどれい
いっしょに帰っているのに話さない。
あたしのオーラがこわいんだと思う。
ひとにあたっちゃうくせ、直さなきゃ。
「……υなぁー、俺なんかした?」
いつまでたっても話さないあたしに、前川くんが口を開いた。
電車はもう少しであたしの街。
「べつに」
電車の中は、ひとはいない。
違う車両に、ひとがちらほら。
「おいっ」
ぐいとあたしは腕をひかれ、前川くんを見るはめに。
「え…なに。まじで」
泣いている。
自分の涙に、あたしも今気づいた。