恋のどれい
あたしといっしょにいるときみたいに、素を出すこともあまりなくなった。
これでいいの、とあたしは納得する。
あたしの気持ちは、こんな程度だったのよ。
ほんものの恋なんて、むりなはず。
「さとう…めいさん」
だれかがあたしのフルネームを呼んだ。
聞き覚えのない声に、
え、だれ?とあたしは振り向く。
恋のどれいのひと。
保健室で前川くんといっしょにいたひと。
また恋のどれいに勧誘?!と身構えた。