恋のどれい
両手が解放されたのをいいことにあたしは、思いっきり前川くんをなぐってやった。
しかもグーパンで。
そりゃもう。
前川くんは驚いた顔をして、なぐられた頬をおさえた。
「いた…」
なんだけど、前川くんはまたあたしに手を出そうとしている。
「ッ……って、このままやられてたまるかぁー!」
あたしは胸もとをおさえながらおきあがった。
「なに…」
「なにってどっちがよ!なんでこんなことするのよ!!」
「口止め料。気持ち良くなかった?」
気持ちいいわけないでしょ!
前川くんの本性ってエロ魔王?
「でも、お前感度いいな~」
「な゛っ」
感度って…
恥ッ!
「ばかー!!」
あたしは殴り倒して、保健室を出てトイレにかけこんだ。