恋のどれい


「…っ!」



あたしは前川くんを抱きしめた。



状態を起こした前川くんの体をあたしは抱きしめる。




「前川くんっ…!ばか…………よかったよぅ」





前川くんはあたしの肩に頭をのせた。




「死んじゃったのかと思った。もう話せないって」



「ばーか。俺がおまえを残して死ぬはずねぇだろ…」





あたしの肩にのっている前川くんの体重が重くて、やっぱりぐったりしてるんだって思う。



血あんなに出てたもんね。





「前川くん…看護師さん、呼ばなきゃ」


「もう、ちょっと」




いつも強引な前川くんが弱ったところを見せるから、あたしはきゅっと胸がしめつけられる。



生きてる。



こうして、話せてる。



鼓動を感じてる。






ほんとうに、よかった。


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