恋のどれい



「事故に遭って、お前に会えたんだからよかったよ…」


「よくないっ!」



ますますきつく前川くんを抱きしめた。




「だって、痛いでしょう。そんな前川くん、見たくない…」


「うん…痛い」



あっ!そっか。


あたしが抱きついてるから、ね。



「ごめんね。ほんとうに…」


と、あたしは体をはなそうとする。




だけど前川くんはあたしをはなさない。




「なんで、ごめんなの?」



あたしは、離れるのをやめた。




冷たい体を、温めてあげたいと思った。




「あたしが、誤解してたから…前川くんが事故で…」


「お前のせいじゃないから」


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