恋のどれい
「行きたいっ!」
「来るな」
ぜいぜいと肩で息。
今は休憩時間。
移動教室などでにぎわうろうか。
表向き王子も本性がばれてきちゃってるから、みんなの前で素を出しても驚くひとはいなくなった。
「だめだから」
むむむ、と考えて最後の手段。
「せめて住所だけでも…」
「嫌だ」
せめてっていう最後の質問にもにっこりと断られてしまった。
あたしを廊下に残して、先に教室に戻って行った。
あたしはあわてて追いかける。
けど、前川くんの周りには女子のかたまりができてしまっていた。
聞くチャンスないし…。