Memories - 年の差恋愛 -
「お母さんもいかがですか?」

「あらあら、いいかしら?」

なんて、まるで遠慮しているような言い方だけど、手にはしっかりグラス。

皆でビールで乾杯をしてから、いつもよりもちょっぴり品数の多い、でもご馳走というよりは普段の夕ご飯を頂いた。

楽しく会話を弾ませながらの食卓は、とても温かい雰囲気に包まれていて。

とても緊張しているように見えない飛田さんだけど、いつもよりビールの減り具合が少ないのを見るとやはり緊張しているのかも。

一通り食べ終わり、ダイニングからリビングへとお父さんと飛田さんが移動したのをきっかけにささっと食卓を片づけて。

コーヒーを入れてリビングへ行くと、先に座っていたお母さんも含めて3人で何やら盛り上がっていて。

「私も入れてよ」

コーヒーを出しながら飛田さんの隣に座ると、私から受け取ったコーヒーに口を付けてからカップをテーブルに置いた。

目があった飛田さんは、にっこり笑うと背筋を伸ばして座りなおしてからお父さんとお母さんの向き直った。

なんだか急に緊張感が増して、隣にいる私も飛田さんに習ってお父さんたちの方を見ると、同じように二人も緊張した面持ちで飛田さんを見ていた。

「お父さん、お母さん。改めて挨拶をさせていただきたいと思います」

「本当に改めてだね」

飛田さんの言葉にお父さんがくすくす笑って。

横でお母さんもにっこり笑いながら、それでも少しだけ緊張した面持ちでちらっと私を見た。
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