Memories - 年の差恋愛 -
「まあ、君くらい大人じゃないと佐智子をお願いできないな」

そんな私を見てやさしい顔でそう言ったお父さんにもびっくりして。

子供扱いされているとか、それを否定してくれているとか、今の私の頭ではうまく理解できないけど。

素敵な家族に囲まれて今までにない幸せな時間を過ごした。


「遅くまでお邪魔しました」

「送ってあげたいけど、あいにくお酒を飲んだのでね。佐智子、気を付けて送ってあげなさい」

「うん、行ってきます」

お酒を飲まなかったのは、飛田さんを送りたかったから。

お父さんとお母さんに見送られて家を出て、ピカピカに磨かれた車に乗り込む。

「眠くないか?大丈夫?」

「もう、まだ大丈夫です!そこまでお子様じゃないんだから」

エンジンをかけて出発すると、助手席から飛田さんがそっと手を伸ばしてきた。

「佐智子ちゃん、ありがとう」

前を見て運転している私の頬にそっと触れた飛田さんは、すぐにその手を離してしまった。

もう少し、触れていてほしかったけど。

運転中だし、我慢だよね。
< 119 / 149 >

この作品をシェア

pagetop