Memories - 年の差恋愛 -
あっという間に飛田さんのマンションに着いてしまい、ハザードを付けて車を端に寄せて止めた。

もっと一緒に居たい。

でも、もう時間的に深夜だし、明日は仕事がある。

ちょっとだけさみしくて、飛田さんのシャツをきゅっと握った。

「佐智子ちゃん」

名前を呼ばれて飛田さんを見ると、すっと手が伸びてきて。

後頭部を支えるようにして引き寄せられ、触れるだけのキスをしてくれた。

「帰したくないっていったら、お父さんに呆れられるかな」

唇が再び触れそうな距離でそんな事を言う飛田さんがなんだか可愛くて。

私は両腕を飛田さんの首の後ろへ回してしがみついた。

「帰りたくない」

ぎゅっと腕に力を入れて飛田さんの首元に顔をうずめると、飛田さんも私の背中に腕をまわしてくれた。

「大好き」

飛田さんが、大好き。

毎日大きくなる飛田さんに対する気持ちが、この週末だけですごく大きくなったと思う。

飛田さんのことを知るたびに、どんどん惹かれていく。

「うん、俺も」

そっと体を離されて、今度はとろけそうな深いキス。

遅い時間なので人通りもなく、静かな車の中に二人の音だけが響いた。
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