Memories - 年の差恋愛 -
15分くらいすると電話が鳴って。

『今終わったよ。どこかでお茶でもする?それともご飯?』

「あ、今日はお父さんが出張へ行くと言っていたので、家で食べます」

時々ある泊りの出張。

そんな日はお母さん一人でご飯はかわいそうなので、できるだけ一緒に食べるようにしている。

『そうか。じゃあ、駅前にあるコーヒーショップで待ち合わせでいいかな?』

「はい。ごめんなさい」

『はは。謝ることじゃないよ』


電話を切ってから車を動かしてコーヒーショップ近くのコインパーキングに止めていると、同じように車で着ていた飛田さんもパーキングへ入ってきた。

ちょうど空いていた隣に車を滑らせてきた飛田さんが、もたもたしていた私よりも一足先に降りて運転席側へ回ってきて扉を開けてくれた。

「おつかれさま」

にっこり笑って私を車から降ろしてくれた飛田さんは、ごく自然に私の手を握ってから「いこうか」とお店へとむかった。

お店は会社帰りのOLやサラリーマンであふれかえっていて、コーヒーを買ってから空いていたカウンター席に腰を下ろした。

「昨日はありがとう」

「いえ、こちらこそ。お父さんがなんだかすごく喜んでました」

子供が増えたって喜んでいたお父さんとお母さん。

とくにお父さんは一緒に飲める飛田さんが嬉しいようで、毎週でも来てほしいと言っていた。
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