Memories - 年の差恋愛 -
そんな母の手伝いをするうちに私自身も作るのが大好きになって。

本当は、お菓子の専門学校へ進学しようかと悩んだほどだったけど。

好きなことを職業にするということは、とても難しい。

さんざん悩んで今の道を選んだ。

趣味なら、続けることはできるし。

「あ、卵がないや・・・」

冷蔵庫を開けると、卵が足りない。

仕方がないので簡単に化粧をして、近くのスーパーへ買い物に行くことにした。

歩いて数分の所にある小さなスーパーで卵だけをかごに入れ、レジに並ぶ。

「あら、さっちゃん、またお菓子?」

パートでレジ打ちをしている近所のおばちゃん。

私がお菓子やパンを作ることを趣味にしているのをよく知っていて、おすそわけを持って行くといつも美味しい美味しいと言いながら沢山食べてくれる。

こうやって足りない材料だけをあわてて買いに行くこともよくあって、こんな風に卵だけなんて買い物のときはすぐにばれてしまう。

「うん、美味しく焼けたらまた持って行くね!」

お店を出て、急いで帰宅して材料を量る。

「おいしくなりますように!」

丁寧に混ぜて型に流し込んでオーブンへ。

ほんのりレモンの酸味がさわやかなマドレーヌ。食べてくれるかな。
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