Memories - 年の差恋愛 -
「いや、なんでもない」

自分の行動が恥ずかしかったのか、ごまかすようにお茶を飲んでダイニングに座ると、お母さんにごはんはまだかなんて普段は言わないことを口にして。

お母さんが余計ないことを言うから、なんだか私まで気まずいし…。

無言で準備を手伝い、気まずいまま朝食を食べていつもより早くに家を出た。

車で通勤の私。

そう遠くない会社までの距離は、朝はいつも地元のFMを聞きながら過ごしている。

最新の曲などの情報というよりは、地元の交通情報などが流れていて便利。

あっという間についた駐車場で、いつもよりも早く着いたので少しだけ時間つぶし。

止まっている車もまばらで、こんなに早く会社へ来たのは初めてかも。

ぼーっと車を見ながら、誰の車か考えていると見慣れた一台の車が静かに駐車場へ滑り込んできた。

「…あ」

飛田さん。

急に鼓動が速くなるのがわかる。

慌てて鏡を取り出し、顔を確認したりして。

どうしよう、どんな顔をすればいいの?
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