Memories - 年の差恋愛 -
自分の話が終わったとたん、私への質問を始めた綾は心から楽しそうにして私の顔を覗き込んできた。

聞くだけで終わるわけがないとは思っていたけど、いざ話そうにも何から話したらいいのかわからない。

「えーっと…」

どうしたらいいのかわからない私を見ながら、店員さんが持ってきたねぎまを豪快に食べている綾。

お酒がよく似合いますね…。

小さくため息をついてから、私が口を開こうとした瞬間、私たちのテーブルの前に誰かが立ち止まった。

「え…？」

ふと見上げるとスーツ姿の男性で。

だ、だれ？

見たことのない男性は、私ではなくて目の前にいる綾を見ているようで。

「こんなところで、奇遇だね」

イケメン…とは言い難いその彼は、ちらっと私を見ると再び綾へと視線を戻してしまう。

綾はと言えば、そんな彼を見ること無くお酒とねぎまを今までと変わらぬペースで口にしていて。

まるで、すぐそばにいる男性など視界に入っていないような。

「あ、綾？お知り合い？」

何ともいえぬその雰囲気に我慢が出来なくなり、テーブルの上に置かれていた彼女のてを握って問いかけてみた。

「知らない」

そんな私の手を振り払うようにして自分の手をテーブルの下へと隠してしまった綾は、もう片方の手でグラスをあおった。
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