Memories - 年の差恋愛 -
鞄と私の腕をつかんだ綾は、勢いよく店を出てしばらくそのまま無言で歩き続けた。

引きずられるようにして綾について歩いた私だけど、15分位歩いたところで急に立ち止まった綾の背中に突っ込んでしまった。

「痛いってごめん、大丈夫?」

かなり勢いよくぶつかったのに、痛がる様子もない綾が心配になり、正面から顔を覗き込む。

…泣いてるの?

きゅっと口を閉じたまま地面を睨みつけるようにしている綾を、私はどうしたらいいのか分からずにギュッと正面からだきしめた。

泣きたいなら、泣けばいい。

そう思いながら彼女の頭をなでると、肩が震えだして。

「ご、ごめ…」

謝ろうとしているんだろうけど、うまく言葉が出てこないようでしゃくりあげるようにして泣いていた。

なかなか泣きやまない彼女を、道の真ん中でこうして抱きしめているのもおかしいので近くにあったカフェに入って奥のほうの目立たなさそうな席に着いた。

コーヒーを買って席へ戻ってくると、少し落ち着いたのか下を向いたまま泣きやんだ綾が居て。

「甘いのにしてみたよ。飲もう?」
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