Memories - 年の差恋愛 -
私から何があったのか聞くのも憚られるので、あえて聞かないでおこうと思っていたけど。

「…短大の時、振られた男」

私からコーヒーを受け取り一口だけ飲んだ綾が、さっきの男の人のことを離してくれた。

短大1年の時にコンパで知り合った人で、散々遊ばれて振られたらしい。

「田舎から出て来た私を、何も知らないからって…」

綾のほかに、何人も彼女が居て。

食事に行くのも、デートに出かけるのもすべて綾のお金で支払っていたらしい。

…聞けば聞くほどあり得ない話に、なんだかどんどん腹が立ってきて。

「こんなに近くにいるなんて思わなかった」

ほんの数カ月だったけど、彼女の心に残った傷はとにかく大きくて。

社会人になって環境が変わってからやっと忘れることが出来たのに。

こんなにすぐに再開してしまった。

「やっと、好きな人も出来たのに…」

「綾…」

過去のことだし、また彼と会うとは限らない…し…。
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