Memories - 年の差恋愛 -
「あれ、佐智子ちゃん早いね?」

「飛田さん!」

聞きたいと思っていた大好きな声に振り返ると、コーヒーを片手に出社してきた飛田さん。

「おはよ、佐智子ちゃん」

にっこり笑いながら私に近づいてきた飛田さんは、空いている手でそっと私の頭をなでてくれた。

「おはようございます。あの、昨夜は…」

ごめんなさい、と言いたかったのに。

ちゅっと音を立てて飛田さんがキスをしてくれた。

こ、ここ会社だし!!!

びっくりして慌てた私は両手で口元を隠すようにして後ずさった。

「あはは。そんなに驚かなくても」

いや、驚くでしょう!?

思わずきょろきょろと回りを確認して、そういえば私が一番に来たので誰もいないんだったなんて少しだけ安心した。

でもでも、会社でいきなりは驚きます!

「もうすぐ皆も来ると思うよ。昨日のことは気にしていないから」

再び大きな手が私の頭をくしゃくしゃっと撫でてくれて、お腹がきゅーっと締め付けられるように感じる。
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