Memories - 年の差恋愛 -
「あら、連れてこればいいのに」

お母さんだって会いたいわなんてのんきに笑っているけど。

「…そのうち、ね?」

自分のエプロンを付けて手を洗ってから、お母さんの横に並んだ。

料理が出来上がってから、自分の分と飛田さんの分のおかずをタッパーに詰め込んだ。

飛田さんの家で温め直せば大丈夫かな。

ご飯はおにぎりにしてラップに包んだ。

「これも持って行きなさい」

保温容器にお味噌汁を入れてくれて、お母さんが手渡してくれる。

「ありがとう!」

「佐智子が料理を持っていくなんて、はじめてねぇ」

お弁当すらろくに作ったことのない私が、料理を持って出かけるなんて初めてのこと。

紙袋に料理を詰め込み終わったころ、お父さんが帰宅した。

「お父さんにはうまく言っておくから、帰宅は明日でも大丈夫よ」

耳元でこそっとそういったお母さんは、にこにこしながらお父さんの方へ行ってしまった。
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