僕の女王様
「おはようございます」


見開いた目を一瞬でいつもどおりに戻したのは、さすがだと言える。


僕への笑顔は『なんでこいつがここにいるのよ』と書かれている。


女王様は朝が弱い。


学校へ向かうにつれてボルテージを上げていくのが通常だ。


当然、そんな事実を知るのは僕だけで、勇人は知る由もない。


「今日もすがすがしい朝ですね」


勇人は快晴といった言葉がぴったりの空模様を指して言う。


「そうね」


きっと、『あなたに会わなければもっとすがすがしかったのに』と思っていることだろう。
< 13 / 84 >

この作品をシェア

pagetop