僕の女王様
「車で行きませんか?昨日の疲れもありますし、今日は長くなりそうだから」


『混雑した電車に乗りたくない』という意図が込められている。


女王様が少し顔を曇らせれば、移動手段はどうでもいいことになる。


この調子で、デートプラン全体を変更しかねない。


「ちょっと寄りたいところがあるの」と、言われる前に、先に行き先を告げ車を走らせてもらう。


車で移動したことが功を奏し、プランの時間より早く着いた。


報道部に言われ、車を降りるところから撮影が始まる。


完璧です。


この歳でヒールを履きこなす人を一人しか知らない。


いつになく完璧に振る舞う女王様はあまり好きではないことに気づく。


遠い世界の住人だ。
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